はじめに:2025年7月18日、AIの歴史が動いた
2025年7月18日(金)、OpenAI社のChatGPTに革命的な新機能「Agent(エージェント)機能」が実装された。この機能は、簡単に言うと「AIが色々勝手にやってくれる」機能だ。
これまでもAIが勝手にやってくれたじゃん?と思うかもしれないが、変わったのは「色々」がついたところ。この「色々」という言葉こそが、生成AIの使い方を根本から変える技術革新を表しているのだ。
エージェント機能とは何か?「色々」が変えるAIの革命
従来のAI:「一つのこと」しかできない
これまでのAIは確かに優秀だったが、できることは常に「一つ」だけだった。
- 文章を書く→文章だけ
- 画像を生成する→画像だけ
- データを分析する→分析結果だけ
つまり、「文章を書いて、それに合う画像を作って、PowerPointにまとめて」という複数のタスクをお願いしても、「文章は書きました。画像とPowerPointは自分でやってください」となっていたのだ。
エージェントAI:「色々」を組み合わせて完結させる
エージェント機能の「色々」とは、具体的にはこういうことだ:
例:「明日のプレゼン資料を作って」と依頼すると...
【従来のAI】
「プレゼンの文章案です」→終わり
【エージェントAI】
1. テーマを分析して構成を決める(企画タスク)
2. 必要な情報をWebから収集する(検索タスク)
3. データを分析してグラフを作る(分析タスク)
4. 説明文を書く(文章生成タスク)
5. イメージ画像を生成する(画像生成タスク)
6. PowerPointに配置する(ファイル操作タスク)
7. デザインを整える(レイアウトタスク)
8. ダウンロード可能にする(出力タスク)
この「8つの異なる種類のタスク」を勝手に組み合わせて実行する——これが「色々」の正体だ。
事例を簡単な漫画で紹介

例えば、これまでのAIでは「パワーポイントを作って」とお願いしても「はい、これをパワーポイントにコピペしてください」やひどい時には「パワーポイントは作れません」となっていた。
パワーポイントに表示するテキストをくれたりはするものの、実際のパワーポイントを作るまでに必要な工程をすっ飛ばしてしまい、完成したパワーポイントのデータまで完成させて、くれることはなかったのだ。
しかし、エージェント機能を使うと、
- パワーポイントに表示する企画の内容を考える
- 図解や画像を用意する
- デザインしてレイアウトを整える
- パワーポイントの資料をダウンロードできるようにする
などといった一連の流れをタスク化して、勝手に計画を立てて、パワーポイントを用意してくれるのだ。そのため、ユーザーはダウンロードするだけでパワーポイントが完成してしまうのだ。
エージェント機能の仕組み:なぜ「色々」できるのか?
1. タスクの自動分解と組み合わせ
エージェント機能の中核は「タスク分解能力」と「タスク組み合わせ能力」だ。大きな目標を、実行可能な小さなステップに自動的に分解し、それぞれに適したツールを使い分ける。
例:「競合分析レポートを作成して」
- 競合企業のリストアップ(検索タスク)
- 各社の公開情報収集(Web収集タスク)
- 強み・弱みの分析(分析タスク)
- 市場シェアの計算(計算タスク)
- グラフ・図表の作成(ビジュアル化タスク)
- レポートの執筆(文章生成タスク)
- エグゼクティブサマリーの作成(要約タスク)
2. 複数ツールの連携
エージェントは、必要に応じて複数のツールやAPIを組み合わせて使用する:
- テキスト生成
- 画像生成
- データ分析
- ファイル操作
- Web検索
- 計算処理
これらを「色々」組み合わせることで、人間がやっていた複雑な作業を完結させる。
3. 自己修正機能
作業中にエラーが発生しても、エージェントは自動的に別のアプローチを試みる。人間が介入する必要がないのだ。
この機能により、「やり直して」「ここを修正して」という手間が大幅に削減される。AIが自分で問題を認識し、解決策を見つけて実行する。
実際の活用例:「色々」がもたらす可能性
ビジネスシーン
- 営業資料の完全自動作成:企業情報の収集→分析→提案内容の作成→デザイン→ファイル生成まで「色々」を一括実行
- 市場調査レポート:データ収集→分析→ビジュアライゼーション→レポート作成→プレゼン資料作成まで「色々」を自動化
- メールマーケティング:ターゲット分析→コンテンツ作成→デザイン→配信スケジュール設定まで「色々」をワンストップで
個人利用
- 旅行計画:行き先選定→ルート計画→宿泊先予約→観光地リストアップ→予算計算まで「色々」を統合管理
- 学習計画:目標設定→カリキュラム作成→教材準備→進捗管理ツール作成まで「色々」を自動構築
- 家計管理:収支記録→分析→節約提案→投資シミュレーション→レポート作成まで「色々」を包括的に処理
クリエイティブ分野
- 動画制作:企画→脚本→画像生成→音楽選定→編集指示書作成まで「色々」な制作工程を自動化
- Webサイト制作:要件定義→デザイン→コーディング→テスト→公開準備まで「色々」な開発工程を実行
- 書籍執筆:アイデア出し→構成→執筆→校正→出版形式変換まで「色々」な執筆プロセスを支援
今後の展望:AI業界全体への波及効果
これは、今後生成AIの主流になるだろう機能で、おそらくGeminiやClaude、Copilotなどにも近々搭載されるのではないだろうか。
競合他社の動向予測
2025年7月20日現在、エージェント機能はChatGPTやManusなどの少数の独占的な機能だが、この状況は長くは続かないだろう
- Google Gemini:2025年中にエージェント機能を実装すると予想
- Anthropic Claude:安全性を重視したエージェント機能の開発が進んでいると予想
- Microsoft Copilot:Office製品との深い統合を活かした独自のエージェント機能を準備中と予想
- xAI Grok:イーロン・マスク率いるxAIは2025年7月に最新モデルGrok 4をリリースし、Grok 4 Heavyも用意中。エージェント機能も実装すると予想
利用方法と料金体系
ChatGPT(2025年7月20日現在)
2025年7月20日(日)現在は、課金ユーザーだけが使える状態になっている。7月中には企業向けのユーザーにも適用される予定だ。無料ユーザーはまだ利用できない。
- 対象:ChatGPT Plus、Team、Enterpriseの有料プランユーザー
- 料金:月額20ドル〜
- 提供開始:個人向けは即日、企業向けは2025年7月末予定
- 無料プラン:現時点では利用不可
うーん、自分も試してみたい!と思った人。大丈夫。
今すぐ無料で試せる!Manus AIという選択肢
実は、すでに無料で先行してこのエージェント機能を搭載している生成AIサービスがいくつかあるのだ。その1つがManus AIだ。
なんとこちらは、今なら無料でエージェント機能を試すことができる。こちらはポイントシステムになっており、利用すると最初に1000ポイントもらえてその範囲内であれば利用できるシステムだ。AIの評価をすると100ポイント、友だちを紹介すると、紹介された人にも500ポイントもらえるシステムになっている。
Manus AIの料金体系
プラン名 | 月額料金 | 日本円目安 | 月次クレジット | 日次クレジット | 同時実行タスク | 優先アクセス | 追加機能 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
無料プラン | $0 | 0円 | なし ※初回1000クレジット |
300 | 1 | なし | 基本機能のみ |
Basic | $19 年契約:$16 |
約2,850円 年契約:約2,400円 |
1,900 | 300 | 2 | あり | 拡張コンテキスト ベータ機能 |
Plus | $39 年契約:$33 |
約5,850円 年契約:約4,950円 |
3,900 | 300 | 2 | あり | 拡張コンテキスト ベータ機能 |
Pro | $199 年契約:$166 |
約29,850円 年契約:約24,900円 |
19,900 | 300 | 5 | あり | 拡張コンテキスト ベータ機能 |
※補足情報
- 日本円は1ドル=150円で計算(為替により変動)
- 年契約なら約15〜17%お得
- 日次クレジットは毎日付与、月次クレジットはプラン契約日にまとめて付与
- クレジットは持ち越しできないので、計画的に使う必要がある
特筆すべきは、無料プランでも毎日300クレジットがもらえる点だ。これは、エージェント機能を日常的に体験するには十分な量といえる。
まとめ:エージェント機能が開く「色々」な可能性
エージェント機能は、単なる新機能ではない。これは、人間とAIの関係を再定義する技術革新だ。
これまで:人間が「一つずつ」細かく指示を出し、AIが「一つずつ」部分的に実行
これから:人間が目標を伝え、AIが「色々」な作業を計画から実行まで完遂
私たちは今、AIの「単機能アシスタント時代」から「多機能パートナー時代」への転換点に立っている。この変化は、仕事の効率化だけでなく、創造性や戦略的思考により多くの時間を割けるようになることを意味する。
今すぐChatGPTの有料プランに加入するか、無料のManus AIで体験してみるといい。きっと、これまでのAI体験とは全く異なる「色々」な可能性を感じることができるはずだ。
本記事は2025年7月20日時点の情報に基づく。各AIサービスは日々進化しているため、最新情報は公式サイトで確認してほしい。
最後に:「色々」できるAIと共に進化する
エージェント機能の登場は、AIが「ツール」から「パートナー」へと進化したことを意味する。
もはや、「AIに何をさせるか」ではなく、「AIと何を成し遂げるか」を考える時代になった。
「色々」なことを自動でやってくれるAIは、私たちに「色々」な可能性を開いてくれる。その可能性を最大限に活かすのは、他でもない私たち自身だ。
さあ、新しいAIの時代を一緒に切り開こう。