「廃掃法」ってどんな法律?「清掃の日」に学ぶゴミ分類の意外な事実

【清掃の日】

9月24日は「清掃の日」
1971年9月24日。この日、日本で「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」略して「廃掃法」が施行された。それを記念して制定されたのが「清掃の日」だ。
今回はこの記念日の由来となった「廃掃法」の簡単な概要や、ゴミ分類の豆知識をお伝えしたい。


【廃掃法とは】

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」はゴミを正しく処理して、環境と人の健康を守るための基本法
廃掃法の目的は「廃棄物の適正処理を通じて、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ること。」だ。「一般廃棄物」と「産業廃棄物」などゴミの分類を定義していたり、不法投棄への罰則が決められている他、「ゴミは出した人が責任を持つ」、「一般廃棄物は市町村、産業廃棄物は事業者が処理を担当する」などのルールが設定されている。
また、時代に沿って度々改正もされており、近年ではリサイクルのための分別ルールなども追加された。


【廃棄物って?】

「廃棄物」は一般的なゴミのイメージよりもっと種類が多い
「廃棄物」の定義は廃掃法第2条第1項で下記のように定められている。
「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染されたものを除く)


【動物が物扱い?】

動物の死体を「一般廃棄物」に設定しているのは、市町村で害獣の死体を適切に処理するため
ペットと一緒に暮らしている人だと「大事なこの子が物扱いなんて…」とショックを受けるかもしれないが、これは野生動物の死体を誰もが分かりやすく処理するために必要な定義だ。
飲食店の近くでネズミの死体を見つけてしまったときを想像してみてほしい。もし処理する手段が分かりにくかったり複雑な手続きが必要だったら、なかなか対応できずに死体が腐り、悪臭や虫が発生して大変なことになるだろう。
動物の死体を「一般廃棄物」とすることで、市町村が処理の責任を持って迅速に対応することができ、それによって人々の暮らしが守られているのだ。


【不法投棄】

「不法投棄」の罰則は最大で「懲役5年+3億円の罰金」 !かなりヘビー
ゴミはルールに従って捨てないと「不法投棄」になる。ルールとは簡単に言うと「自治体が決めた日に、決められた場所に捨てる」というものだ。このルールを破ると「不法投棄」と見なされ、なかなか厳しい罰がくだされる。
① 産業廃棄物の不法投棄
個人の場合
→ 5年以下の懲役 または 1000万円以下の罰金、またはその両方
法人(会社など)の場合
→ 3億円以下の罰金
②一般廃棄物の不法投棄
個人の場合
→ 5年以下の懲役 または 500万円以下の罰金、またはその両方
法人の場合
→ 1億円以下の罰金


【産業廃棄物】

「産業廃棄物」は主に事業活動で生じたゴミの事
ここまで読んだ中で「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の違いは何?と気になっている人も多いかもしれない。
「産業廃棄物」とは事業活動に伴って生じたゴミのことで、その中でも適切に処理しないと有害物質を発生させるものや、専門的な処理が必要なものが該当する。具体的にはだいたい下記のとおりだ。
- 燃え殻
- 石炭や木材の燃やし残り
- 汚泥
- 工場や建設現場で出る泥状物
- 廃油
- 機械油、潤滑油など
- 廃酸・廃アルカリ
- 化学工場などから出る酸・アルカリ液
- 廃プラスチック類
- プラスチックごみの数々
- 紙くず、木くず、繊維くず
- 建設業や製造業から出るくず
- 金属くず、ガラス・陶磁器くず、鉱さい
- 建設業や製造業から出るくず その2
- 動植物性残さ
- 食品加工時に出るかすなど
- 動物のふん尿、死体
- 畜産業由来で生じる排泄物や死体
- 建設廃材
- コンクリート破片、アスファルトくずなど
- 廃石綿など
- アスベストを含むもの

【一般廃棄物】

「一般廃棄物」は家庭ゴミ+企業が出す産業廃棄物には該当しないゴミ
「一般廃棄物」はつまり簡単に出せて、市町村が簡単に処理できるゴミだ。日々の家庭での生活で出るゴミは基本的にはすべて「一般廃棄物」となる。

【よくある質問】
基本的に「家庭から出るもの」はすべて一般廃棄物に分類される。逆に同じ種類のごみでも「事業所(オフィスや店舗、工場など)」から出た場合は産業廃棄物に分類されるケースが多い。例えば、紙くずや段ボールは家庭なら一般廃棄物だが、工場から大量に出れば産業廃棄物に分類されれう
ペットの場合は「一般廃棄物」とは別の扱いをしても問題ない。地域によってはペット火葬場や動物霊園を紹介してくれるケースもある。記事で触れている「一般廃棄物に含まれる動物の死体」は、主に野生動物や害獣などを迅速に処理するための定義なので、ペットの場合は必ずしもそれに従う必要はない。
ルールを無視して勝手に捨てることはすべて不法投棄だ。たとえば山林や空き地に粗大ごみや家電を置き去りにすること、事業所が産業廃棄物を契約外の場所に持ち込むことなどが該当する。
一般家庭でもゴミの日を守らずに捨てたり、度を超して分別を守らない場合は不法投棄に当たる場合があるので気を付けよう。
環境省や自治体が中心となって、ごみ減量やリサイクル推進の啓発活動が行われることがある他、地域の自治会などが清掃ボランティア運動などをすることがある。
【まとめ】
「廃掃法」は社会を安全で清潔に保つための大事な法律
「廃掃法」正式名称「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」は、掃除の法律ということで何となく軽いイメージに聞こえるが、人々を有害物質や伝染病から守ってくれる大事な法律だ。
破ると最大で懲役5年、罰金3億円という重い罰がある怖い法律だが、基本的には住んでいる地域のゴミ出しルールを守っていれば問題ないので、ゴミ処理をしてくれる方々に感謝しつつ、家にゴミを溜め込まずに過ごしていこう。



