8月12日

世界ゾウの日

象の危機と私たちにできる支援

60秒で理解する

国際デーの趣旨:カナダの映画監督パトリシア・シムズ氏とタイの象再導入基金が2012年に制定した「世界ゾウの日」は、毎年8月12日に象の保護を訴える国際デーです。

最新データ:アフリカゾウの推定個体数は1979年に約130万頭でしたが、密猟や生息地破壊により2016年には約41万5千頭にまで減少しました。森林ゾウは過去30年余りで80%以上減少し、アジアゾウは4〜5万頭にとどまります。

最新のIUCN分類:2021年にアフリカゾウは2種に分けられ、サバンナゾウは絶滅危惧、森林ゾウは深刻な危機と評価されました。

はじめに:世界ゾウの日とは?

世界ゾウの日は、カナダの映画監督パトリシア・シムズ氏とタイの象再導入基金(Elephant Reintroduction Foundation)が協力し、2012年に制定した国際デーです。毎年8月12日に世界各地で開催され、象牙目的の密猟や生息地の破壊などで絶滅の危機に瀕しているアフリカゾウとアジアゾウの現状を広く知らせ、保護活動への関心と支援を呼びかけることを目的としています。

近年はオンラインイベントやドキュメンタリー配信も増え、日本国内の動物園や環境団体も関連イベントを実施しています。

象の個体数は急減している

130万頭 1979年の推定個体数
41.5万頭 2016年の推定個体数
-80% 森林ゾウの減少率(30年間)
4-5万頭 アジアゾウの推定個体数

アフリカゾウは植民地化以前には数千万頭と推定されていますが、象牙取引や生息地破壊によって急激に数を減らしてきました。2007〜2014年のわずか7年間で30%の減少が報告されており、森林ゾウに至っては過去30年余りで80%以上の減少が確認されています。

IUCNの2016年アフリカゾウ・ステータスレポートは、アフリカ全土の森林ゾウとサバンナゾウを合わせた個体数を約41万5千頭と推定しています。一方、サバンナゾウを対象としたGreat Elephant Censusでは352,271頭が確認されており、調査方法によって多少の差があることがわかります。

最新のIUCN分類

従来、アフリカゾウは単一種として扱われ「危急 (Vulnerable)」とされていました。しかし2021年のIUCN改訂では、遺伝学的研究の結果に基づき2種に分けて評価されるようになりました。

種名 学名 保全状況
アフリカ森林ゾウ Loxodonta cyclotis 深刻な危機 (CR)
アフリカサバンナゾウ Loxodonta africana 絶滅危惧 (EN)
アジアゾウ Elephas maximus 絶滅危惧 (EN)

種ごとの評価は、生息地の保全や遺伝的多様性を維持するための具体的な対策を設計するうえで重要な指標となります。

アフリカゾウとアジアゾウの違いを知ろう

世界ゾウの日では、象という生き物への理解を深めることも目的の一つです。アフリカゾウとアジアゾウには、外見や生態にさまざまな違いがあります。

特徴 アフリカゾウ アジアゾウ
耳の大きさ 非常に大きく、縦約1.8m×横約1.2mに達する。アフリカ大陸の形に似ており、体温調節に重要な役割を果たす 小さく丸い耳を持ち、アフリカゾウより暑さに弱い傾向がある
体の大きさ 世界最大の陸上動物。オスの体重は6〜7トン、肩高は3mを超える より小柄で、体重は4〜5トン、肩高は2〜2.7mほど
鼻の先端 2本の"指"状突起があり、物を器用に掴むことができる 1本の突起しかなく、下顎を使って物をつまむ
牙(キバ) オスもメスも長い牙を持つ(森林ゾウは比較的短い) 主にオスだけが長い牙を持ち、メスは牙が生えないか非常に短い

象が直面する脅威

象の激減には主に以下の要因が挙げられます。

象牙目的の密猟
象牙は高値で取引され、違法な猟が後を絶ちません。象牙の需要が減少しない限り、密猟は続く恐れがあります。
生息地の喪失
農地拡大や都市開発によって森や草原が破壊され、象の生活圏が縮小しています。生息地の断片化は食料や水の不足を招き、人間と象の衝突も増加させます。
人間と象の衝突
農作物の被害や住民への危険から、象と人間の対立が深刻化しています。保護区の整備やコミュニティへの補償制度、人道的な共存計画が求められています。

象を守るために、私たちができること

世界ゾウの日は"知る"だけでなく"行動する"日でもあります。以下のアクションは個人がすぐに参加でき、象の保護と地域社会の支援につながります。

よくある質問

Q: 世界ゾウの日はどのように始まったの?
A: カナダのパトリシア・シムズ監督とタイの象再導入基金が協力し、2012年に8月12日を「世界ゾウの日」として制定しました。象の保護や絶滅の危機に関する啓蒙活動を目的としています。
Q: なぜアフリカゾウとアジアゾウの個体数がそんなに減っているの?
A: 主な要因は象牙の違法取引と生息地の破壊、そして人間との衝突です。アフリカゾウは1979年の約130万頭から、2016年には約41万5千頭まで減少しました。アジアゾウは4万〜5万頭と推定され、両種とも減少傾向にあります。
Q: 象を守るために何をすれば良い?
A: 違法象牙製品を買わないことに加え、信頼できる保護団体への寄付や里親制度への参加、フェアトレード製品の選択、SNSでの啓蒙活動が有効です。
Q: アフリカゾウの耳が大きいのはなぜ?
A: アフリカゾウの耳は非常に大きく、血管が密集しています。耳を広げたりパタパタと動かすことで体内の熱を効率よく放散し、体温調節に役立てています。

まとめと次のステップ

世界ゾウの日は、象を取り巻く危機を知り、行動につなげる貴重な機会です。アフリカゾウの個体数は1979年の約130万頭から急激に減少し、2016年時点の推定でも約41万5千頭にとどまっています。森林ゾウは過去30年で80%以上減少し、アジアゾウも4万〜5万頭と少数です。

生息地の保全や密猟撲滅には国際的な協力が必要であり、一人ひとりの支援が大きな力になります。この記事で紹介した最新データやIUCN分類の改訂を踏まえ、自分にできるアクションを選んでみてください。

寄付や里親制度、フェアトレード製品の選択、SNSでの発信など、小さな一歩が象の未来を守る大きな力になります。掲載予定の図解やテンプレートを活用して、周囲の人々にもこの問題を広めましょう。