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番号 | 目次 |
---|---|
1 | はじめに |
2 | 過食症になってから |
3 | 過食症によるダメージ |
4 | 抜け出すきっかけ |
5 | 過食症からの回復 |
6 | 過食症の気づき方 |
7 | まとめ |

過食症になったきっかけは、仕事で失敗したことだった。
私は新卒で入社した素晴らしい会社を3ヶ月で辞めた。
ブラック企業で追い詰められて……というワケではなかった。自分で独立して事務所を作れると思い、意気揚々と辞めたのだ。しかし、全くうまくいかずに無収入になってしまった。過剰にあった自信は完全に枯渇し、無職である自分への家族や周りの目が気になってストレスが溜まっていくばかり……。
そんなある日のことだった。駅中にある一軒のスイーツ店が、ふとした拍子に私の目に留まった。シュークリームやショートケーキ、アップルパイにスイートポテト……。ショーウィンドウをぼんやり眺め続けているうちに、それらのスイーツたちが、まるで救いのアイテムのように見えてきた。思えばここ数ヶ月、甘いものをまったく食べていなかった。
私はすぐさま店員さんに声をかけ、食べたいものを全て買って家に持ち帰ったのだった。

家で猛烈に食べまくった。
それぞれに趣向を凝らされたスイーツの見た目の美しさと、濃厚な甘味が身と心に染み渡り、幸せの極地を感じた。 その時は何もかもが忘れられたし、人間は食べるために生きているのではないか?とさえ考えた。
しかし完食した直後、私はすぐに罪悪感に苛まれた。流石に食べすぎたと後悔したのだ。 当時の私は中肉中背で筋肉質な体型だったのだが、この体型が太って崩れるのが怖かった。 そこで思いついたのが「食べたものを吐き出す」という方法だった。 トイレに行って指を喉の奥まで入れ、吐き気を促した。 とにかくめちゃくちゃに食べたので、その日はすぐに吐き出すことができた。大量に吐いたことで、カロリーが全部なくなって得した気になった。 罪悪感も無くなり、スッキリした気分になったのを覚えている。

この時、私はこの方法が自分の人生で最高の発明だと錯覚していた。
好きなものを食べて快感だけ味わい、全て吐き出す。
嘔吐後は達成感があり、最高に気分が良くなった。 それからというもの、私は毎日過食と嘔吐を繰り返すようになった。完全に「過食症」というヤツだ(当時は症状名すら知らなかった)。
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過食症になってから体にいくつかの変化が起こった。
過食症になってから約1ヶ月……。私はすっかり、好きなものを食べて快感を得て、吐いてスッキリするというサイクルにはまっていた。
吐く技術も上達しており、指を使わなくてもお腹の筋肉を使って胃を持ち上げ、簡単に吐けるようになっていた。元々アメリカンフットボール部に所属していて筋肉量が多かったのだ。 自分はこれも最高の特技を会得したのだと勘違いしていた。
しかし実際は逆で、その行動は私の体に大きなダメージを与えていた。
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まず、顔の形が変わってきた。
体は痩せていったものの、顔が横に広がったように見えてきた。
最初は気のせいかもしれないと思っていたが、実は耳下腺が腫れていた。耳下腺とは耳の下にある唾液腺で、過食や嘔吐を繰り返すと炎症を起こして腫れることがあるのだという。 私は何度も食べては吐いていたので、耳下腺が刺激されて腫れ上がっていたのだ。吐いた後、顎の付け根あたりにピリピリと違和感が出ることもあった。家族に聞いても「そうは見えないよ」という返答だったが、鏡で見ると明らかに顔が丸くなっているのを感じた。
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次に、目眩やしびれが起きるようになった。
十分なカロリーや栄養が摂れていなかったので、体が衰弱してきたのだ。
時々目眩がして倒れそうになったり、身体中がピリピリするような変な感覚が頻繁にあった。これは低血糖や低カリウム血症などの症状だった。
私は自分が痩せて美しくなっていると思っていたのだが、その裏で体が危険信号を発していたのだ。

過食症から抜け出すきっかけになった出来事。
私は過食症になってから、どんどん顔が横に広がっていくことに恐怖を感じていた。
耳下腺が腫れているのが原因だったが、ある日それを親友に指摘された。
「う〜ん、顔どうしたの?」と親友に言われた時はショックだった。ショックを隠しつつ「前からこんな骨格だったよ」と答えたところ、「いや、違う。前は腫れてなかった。病院に見てもらったら?」とはっきり言われた。
結果として、その言葉が転機となった。
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親友の言葉で、自分が変わってしまったことを実感した。
自覚して自分の顔をじっくり観察すると、顔の耳の下が明らかに膨れ上がってきているのがわかった。
そして左右と比べても明らかに右側が大きく腫れていた。しかも、何日経っても治る気配がなかった。
初めて会う人になら、元々そういう顔の形なんだろうと思われてしまう程度ではあったが、一度気になりだすと止まらなくなった。もし一生治らなかったらどうしよう。医者へ行くにも、何と言えばいい?食べて吐いていましたなんて恥ずかしくて言えない。どうすればいいんだろう。
とにかく何とかしなければと思っていたが、どこの誰に助けを求めれば良いのか全く分からなかった。
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何より食べ物が勿体なかった。
吐くのが正しい行為ではないと気付いてから、自分は食べ物を捨てているのだという罪悪感が日々募っていった。
それに「食欲を満たすことが人間の最大の幸せだ」と思い込んでいたが、人生にはそれだけでなく、もっと大切なことがある気がした。
そんな想いが募りに募って、ようやく私は「もう食べて吐くのはやめよう」と決意したのだった。
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まず、吐く事を封印した。
また、爆買いもしないと決めて、外出しないようにした。
普通の食事を食べた後、吐きたくて仕方なくなったが、我慢して胃の中に残すことに集中した。 すると次の日から、少し調子が良くなってきた。
それからは1度でも吐くとまた元に戻ってしまいそうで、逆に吐くのが怖くなり、自然と吐かなくなっていった。
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ついには顔の腫れも1ヶ月ほどで治り、元の顔に戻った。
過食症から抜け出すことは簡単ではなかったが、親友の一言がきっかけで変わることができた。
そして自分の体と心に優しくなろうと心掛けるようになった。 過食症から回復するまでに約1ヶ月かかったが、その後現在に至るまで再発はしていない。
体も心も健康になり、顔も元の形に戻すことができた。 それからというものは食事や栄養について徹底的に調べて、アスリート並みの食生活を過ごしている。健康的な食品について野菜のページで紹介しているので、興味があれば読んでみてほしい。
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もしかしたら、身の回りの人が過食症に悩んでいる人がいるかもしれない。
家族、または身近な人が過食症になったら、できる限り早めに気付けるようにしたい。
私の経験から言えることは、同じように苦しんでいる人がいる場合、トイレに必ずその兆候が現れるということだ。 吐いた後、どんなに綺麗に後始末したとしても、胃液と甘ったるいものが混ざった独特の匂いが個室内に残るのだ。例え本人が綺麗に掃除して隠したつもりになっていても、 吐いた本人はその匂いに鈍感になっているため、気付かないことが多い。
「何だかトイレの匂いがいつもと違う……」と感じたら、それとなく普段の生活も気にかけてみてほしい。 本人は吐くことで美しくなると勘違いしている場合があるので、 過食嘔吐のデメリットと、あなたの事が心配なのだということも伝えてあげてほしい。
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今回の話の内容を箇条書きで5つにまとめた。
①私は仕事で失敗したことがきっかけで過食症になった。
②過食症になってから、好きなものを食べては吐くという行為を毎日繰り返した。
③過食症は私の体に大きなダメージを与えた。顔が横に広がったり、目眩やしびれが起こるようになった。
④過食症から抜け出すきっかけは、親友に顔の腫れを指摘されたこと。
⑤変わってしまった自分に気づき吐くことをやめた結果、1ヶ月かかって元の体調に戻った。
過食症は一人で悩まず、周りの人や専門家に助けてもらおう。そして身近に過食症の人を見つけたら、決して責めずに力になってあげてほしい。
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