【けいうん】
慶雲は神仙郷で画眉丸と最初に戦った死罪人

地獄楽は10名の死罪人が、監視役であり処刑人である山田浅ェ門とペアを組んで神仙郷に渡り、不老不死の妙薬を探しにいく物語だ。ここに死罪人の1人として登場するのが慶雲である。
上陸早々、彼は最初に画眉丸を発見し……あっと言う間に倒されてしまった。物語的にはまさにかませ犬!という役どころになった慶雲だが、決して弱いわけではなく相手が強すぎただけなのだ。彼の名誉を挽回していきたい。
【プロフィール】
これが慶雲のプロフィールだ!
僧侶のような名前だな…という印象だが、その通り慶雲は僧兵である。上陸組の死罪人の中では他に法流坊が仏門出身だが、どちらも仏の道を完全に踏み外して、欲望の限り人を殺めまくっている。
通り名に付いている「いがみ」というのは下記いずれかの言葉、または両方からきていると思われる。
【慶雲の罪】
慶雲の罪状は多数の殺人と、神社仏閣などの破壊行為
慶雲は人から武器を奪うのが大好きで、武器欲しさに数多の武芸者たちに戦いを挑んでは、殺して武器を奪っていたのだという。
「破壊行為」というのは襲撃の過程で周囲の物を壊したり、奪った武器の試用で他人の物や公共物を壊したりしたのだろう。
他人の物を欲しがらず、真面目な僧兵として働いて名品を買い集めていれば罪人となることもなかっただろうに。とんだ暴れん坊である。
【慶雲の過去】
慶雲は元は普通の僧兵だった
慶雲は元々は普通の僧兵だったそうだが、僧兵としての修行中に武器の魅力に目覚めてしまった。その偏愛ぶりはすさまじく、自分の体に直接鎧を縫い付けるほどだ。いったいどんな修行をしたらそこまで武具を愛するようになるのか、そもそも何故仏門に入ろうとしたのかは語られていない。
【担当浅ェ門】
慶雲の担当は期聖。放任主義で慶雲をのびのび遊ばせていた
慶雲の担当浅ェ門は、序列11位のやる気低め男子期聖だ。不真面目さがウリで男にまったく興味がない期聖は、ゴツいおっさんな慶雲に1ミリも関心がなく、手縄もかけず放し飼いにしていた。その結果、慶雲は意気揚々と画眉丸に勝負を挑みにいき、初日にリタイアすることとなったのだ。
なおペアを組んだ理由は、担当者不在だった浅ェ門4人による狐拳(じゃんけんと同じルールの3すくみゲーム)で、自分以外の3人は全員が女好きであか絹に篭絡されそうだと危惧した士遠が、チート能力(誰がどんな手を出すかが気の流れで先読みできる)を使ってそれを回避したからだ。このエピソードは単行本5巻の巻末おまけ漫画に収録されている。
【慶雲の能力】
慶雲は怪力だし、様々な武器を扱える器用さがある
100本以上の武器を奪って、それらを実戦で活用してきた慶雲。刀に薙刀、槍、鎖付き鉄球、大槌、十手、錫杖に鎌……。全て使いこなせるらしいので、脳筋に見えてけっこう器用だ。しかも100本以上のコレクションを全て携帯して歩ける力持ちでもある。
【慶雲コレクション】
死罪人として捕まった慶雲だが、集めた武器は没収されなかったor渡島前に返してもらった模様

慶雲は他人を殺して武器を奪った犯罪者だ。それが奉行所に捕まったとあれば、奪った武器は遺族や親族に返されるのが筋だと思うのだが、彼はそれらのコレクションのほとんどを神仙郷に持っていっている。
渡島前の選別の儀(徳川将軍の前で死罪人同士が殺し合うイベント)では武器を一切持たない状態だったので、その後島に渡る前に希望して返してもらったか、どこかに隠しておいたのを取ってきてもらったのだろう。
【登場シーン】
慶雲の登場シーンを一覧にした
慶雲はすい星のように画眉丸の前に颯爽と現れ、そして颯爽と退場した。
【慶雲て弱いの?】
慶雲はかませ犬ポジションで出てきたが、高名な剣豪をも殺せる剛の者。画眉丸が別格だっただけ
慶雲は上陸前の選別の儀で画眉丸の強さを見ていた筈なのだが、「自分より遥かに小さいし、武器さえあれば余裕!」と思ったのかもしれない。……が、まったく相手にされることなくあっさりと殺されてしまった。
このエピソードだけだと「驚きの弱さ…!」と感じるかもしれないが、慶雲が画眉丸に襲い掛かったときに佐切が「(慶雲が)殺した中には高名な剣豪もいるとか…」と言っている(単行本1巻3話参照)。そもそも優れた武器を持つ武人を100人以上殺してきたわけなので、一般的にはとても強い部類なのだ(不意打ち闇討ち当たり前の戦い方にしても)。
【まとめ】
慶雲はなぜか修業中に武器大好きになってしまった武具マニアな大男

慶雲は武器を舐め回しちゃうほど武器が好きで、地肌に直接鎧を縫い付けちゃうほど防具も好きな武具マニア兼武器コレクターだ。刀のみならず十手(じって)などのちょっと地味目な武器まで集め、背負った道具箱や腰紐の隙間に差して持ち歩いている。
「武具は血を吸って初めて輝くもの」というのが持論なので、コレクションをケースに入れて眺めるのではなく、損壊上等の精神で使い倒すタイプのようだ。もはや武具が好きなのか殺しが好きなのか、ちょっと分からなくなってくる。
しかし体中が古傷だらけなのを見るに、厳しい僧兵の修業を必死に耐えていた時代もあったのだろうと思うので(百本狩りの最中に付いたのかもしれないが)、その努力は称えたい。