日本の落花生品種図鑑

日本の落花生品種
千葉が誇る高級ピーナッツの世界

日本で品種登録されている落花生のうち、9割以上は千葉県出身だ。そして登録前の品種も続々登場中である。
ロングセラー優良品種
元祖高級落花生の2大巨頭
千葉半立(ちばはんだち)
濃厚な味わいが特徴の伝統品種。落花生の神髄を知りたければまずはこれ。
農林8号(ナカテユタカ)
あっさりとした味わいで万人受けする進化形。病気にも強く、粒ぞろいに実がなり収穫しやすいという、メジャーになるべく生まれた特性を持つ。
最新品種Qナッツの衝撃
8年ぶりの新品種が落花生界に革命を起こす

千葉P114号、愛称「Qナッツ」は2018年10月に品種登録された最新の落花生。P(ピーナッツ)の味を超える次世代ナッツという意味を込めて、アルファベットのPの次、Qを冠してQナッツと名付けられた。
とにかく豆の甘味がすごい。甘いといっても砂糖のような甘さではなく、純粋な豆としての味の濃さ。濃いといってもしつこくなく、もたれない。
豆の周りの茶色い薄皮がとても薄い。外の殻をそっと割って豆を取り出そうとしても、豆に触れた途端にハラリと衣を脱ぎ去るように、自然に薄皮がむけていく。
口に入れて噛み締めたときも、薄皮の存在はほとんど感じないほどだ。そのため「皮が歯の間に刺さった!」という事がない。
落花生品種年表
千葉県が生んだ名品種たち
品種名 | 登録年月 |
---|---|
ダイチ | 1991年6月 |
サヤカ | 1994年3月 |
土の香 | 1995年3月 |
ゆでまさり | 1996年1月 |
郷の香 | 2000年3月 |
ふくまさり | 2005年1月 |
おおまさり | 2010年3月 |
セトノシホウ | 2010年3月 |
千葉P114号(Qナッツ) | 2018年10月 |
おおまさりネオ | 2017年5月申請、登録前 |
愛の香り | 2018年12月申請、登録前 |
千葉P121号 | 2020年1月申請、登録前 |
次世代のホープ千葉P121号
オリーブオイルに匹敵する健康落花生
次に控える最新の後継種、千葉P121号!丈夫で機械収穫に耐え、油が劣化しにくく、オレイン酸が非常に豊富という期待のホープだ。
オレイン酸はオリーブオイルに豊富に含まれる脂肪酸で、善玉菌を残して悪玉菌だけを減らす効果がある。オリーブオイルに匹敵する落花生、楽しみでしかない。落花生の未来は輝いている。
落花生の基礎知識
ピーナッツと南京豆と落花生

マメ科ラッカセイ属の豆。またの名を南京豆(なんきんまめ)、英語で言うとピーナッツ(peanut)。
同じマメ科のエンドウ豆とよく似た形の黄色くて小さな花をつける。花言葉は「仲良し」。由来は実の形からきている。1つの殻の中に、2つの実が並んで入っているからだ。
日本と世界の落花生生産
千葉県が支える国産落花生

国内生産率トップは不動の千葉県。千葉県だけで毎年80%以上の落花生を生産している。2位は千葉県の真上の茨城県で、全国の10%前後の生産率を常にキープ。
つまり千葉~茨城の一帯だけで、全国の9割以上の国産落花生を生んでいるのだ。そして千葉県の中でも八街市(やちまたし)が、落花生生産地として最もメジャーな地域である。
しかし世界で見ると日本は50位圏外。トップは2位と倍以上差をつけて中国だ。次いでインド、ナイジェリア、スーダンと、熱い地域でよく栽培されている。
落花生の歴史物語
南米から千葉へ4000年の旅路

原産地は南米だと言われている。世界一古いピーナッツが出土したのが、南米ペルーの遺跡だったからだ。この遺跡から発掘されたピーナッツの殻から、紀元前2500年前には食べられていたことが分かる。
16世紀以降、大航海時代にアメリカ大陸を訪れたスペイン人によって、他の大陸へも持ち帰られ広まっていった。特にアフリカでは気候にも食文化にもよく馴染み、どんどん定着していったという。
続いてシルクロードを通って中国へも渡り、同時期に琉球王国(現在の沖縄県)へも伝わった。17世紀の内には琉球王国で、落花生で作った豆腐、ジーマーミ豆腐が生まれている。
千葉県落花生の父
牧野萬右衛門の功績

千葉県に落花生が伝わったのは明治時代になってから。千葉県へ落花生を持ち帰ったのは、牧野萬右衛門(まきのまんうえもん)さん。
彼は1876年(明治9年)に横浜へ視察に行った際、落花生が関東南部で非常に育ちやすい植物だと紹介され、これは!と思い、千葉に種を持ち帰ったという。
牧野さんはなんと、千葉県のさつまいも神である、青木昆陽(あおきこんよう)さんを尊敬しており、自分も貧しい農村の人々を飢えから救いたいと、常日頃から思っていたのだ。
牧野さんによって千葉県内では落花生栽培が熱心に行われていき、千葉県産の落花生は東京を中心に県外でもよく売れ、千葉県の農民たちは非常に潤っていったのである。だからさつまいもと落花生は、千葉県の宝なのだ。