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マナー講座第2回。今回はカトラリーの使い方だ
かとらりー?なんだそりゃ
カトラリーとは
食事に使うナイフやフォーク、スプーンの総称。
フランス語のcoutellerieが語源とされています。coutellerie刃物製品という意味なので、元々はナイフのみを指す言葉でしたが、時代の流れと共にフォークとスプーンも含まれるようになっていきました。なぜならヨーロッパでは15世紀頃まで食事にはナイフしか使われていなかったからです。
えっ!ナイフだけでどうやって食うんだよ
もちろん手づかみだよ
だからフィンガーボウルの文化ができたんですね
大きな肉や硬いパンをナイフで切り分け、あとは手づかみで食べる。
これがヨーロッパ全域で主流とされる食事スタイルでした。当時のヨーロッパでは「指は神様から与えられた優れた道具である」という考え方が主流になっていたため、同じく「神からの贈り物」である食べ物は手で食べるべきである…と考えられていたのです。
17世紀になってもフランス国王のルイ14世は食事を手で食べていたそうですし、19世紀に入ってもイタリアではパスタを手で食べる地域が多く残っていたといいます。食器の歴史は意外と浅いのです。
というわけで、世界中の文化が混ざり合い始めた現在、箸もカトラリーの一種として考えても良いかもしれません。
最近の日本では、お箸を出してくれるフレンチのお店もありますしね
言葉も文化も時代の流れで変わっていくものだからね
さて、では使い方を説明しようか
ナイフとフォークの順番
ナイフやフォークは外側から順番に使うのがマナーです。
ただしスープスプーンは一番右側に置かれます。カトラリー(ナイフやフォーク、スプーンなどの総称)は、オードブル用、魚料理用、肉料理用というようにコースの順序に従って外側から使うように並べられています。
外から順番に…か、それならオレも間違わなそうだぜ
でももし間違っちゃったらどうすればいいでしょうか
良い質問だ。そこはお店側に任せてOKだよ
間違って使ってしまったら
店員さんが次の料理と一緒に持ってきてくれる。
間違って後の料理用のカトラリーを先に使ってしまった場合は、店員さんが次の料理を運ぶ前に持ってきてくれるので安心して待ちましょう。もし気付かれなかった時は、軽く手を挙げて店員さんを呼び「このお料理用のカトラリーをください」と伝えれば大丈夫です。また、カトラリーを落としてしまった時も同様に、代わりのものを店員さんが持ってきてくれます。自分で拾わず席で待ちましょう。
ミスしても堂々としてろってことか
サービスの行き届いたお店ならすぐ気付いてくれそうですね
うむ。では次にデザート用のカトラリーも紹介しよう
デザートやコーヒー用カトラリー
グラスの横に置かれているか、デザートのタイミングで後から出てくる。
デザートや食後のコーヒー用のカトラリーは食事の終盤まで使わないので奥の方に置かれています。なのでテーブル全体のカトラリー配置は下図のようになります。デザート用のカトラリーは、内側から使うようにセッティングされていることもありますし、外側から使うように並べられている場合もあります。使う順序を間違えても、後でウエイターが足りなくなった分を補充してくれますので、そのまま使いましょう。
また、テーブルの広さやお店の方針によってはデザート用はデザートを出すタイミングに、コーヒー用のスプーンはコーヒーカップと共にソーサ―に乗せて出されることもあります。
手づかみ文化から道具増えすぎだろ!
極端から極端に走りましたよねー
フフフ…。実はこれだけではないのだよ
カトラリーの種類
細かく分けたらキリがないほどあり、昨今も新しいカトラリーが生み出されている。
ナイフ
テーブルナイフ
全長23~25cm程度もっとも一般的な食事用のナイフで、刃に細かいギザギザが付いているのが特徴。筋の少ない肉料理や野菜料理に使う。
ステーキナイフ
全長23~25cm程度そこそこ鋭利な刃がついており、テーブルナイフだと切りにくい肉塊料理に使う。
フィッシュナイフ
約22cmその名の通り魚料理に使うナイフ。刃が少し幅広になっていて、刃を横にして魚の骨を外したり、魚にソースを塗ったりもできる。横にして使うことが多いため、大抵は刃に装飾が施されている。
デザートナイフ(オードブルナイフ)
約21cmテーブルナイフより少し小さめで、ケーキやシュークリームなどのデザートやオードブル(前菜)に使う。
フルーツナイフ
約18cmその名の通りフルーツを切るためのナイフ。チーズを切る時に使われることもある。
バターナイフ
約15cm日本でもお馴染みのバター用ナイフ。日本ではバターを切るのも塗るのもこの1本だが、実は本来バターを切るためだけのナイフである。
バタースプレダー
約15cmこちらがバターを塗るためだけのナイフ。ナイフと名乗ってはいるが切らないナイフである。
チーズナイフ
全長15~30cmまで様々硬いチーズ用からやわらかいチーズ用まで、とにかく種類が様々。なにせチーズは世界に1,000種類以上あるのだ。このナイフはチーズ専門店以外でお目にかかることはないかもしれない。
スプーン
サービススプーン
約22cm個別に使うのではなく、大皿の料理を取り分けるためのスプーン。そのため大きくて先が平らになっている。
テーブルスプーン
約20cm最もオーソドックスな大きなスプーン。ビーフシチューやクリームシチュー、ブイヤベースなどなど、具の入った汁物には大体これ。
フィッシュスプーン
約19cm柔らかすぎてフォークではさせない魚の身をすくったり、ソースや汁が多めの魚料理に使う。またの名をフィッシュソーススプーン。
スープスプーン
約18cmスープを飲むのに最適な丸い形のスプーン。他のスプーンより横幅が広いので液体をたくさん汲みやすい。
デザートスプーン
約18cm日本でよく見る小さめのスプーン。サービススプーンを小さくしたもので、プリンやゼリーを食べやすい。
ケーキスプーン
約16cm先端の左側が切り取られたような形のスプーン。ムースやババロアなどやわらかいタイプのケーキを食べる時に使う。
アイスクリームスプーン
約13cmアイス専用のスプーン。先がちょっと平らになっている。レストランでバニラアイスを頼んだときに先を紙ナプキンで包んだコレが乗っているとちょっと嬉しくなる。
メロンスプーン
約15cmメロンやスイカの身を小さな力でもすくえるスプーン。先が3つに割れているのが特徴。正統派の先割れスプーンだ。
イチゴスプーン
約15cmイチゴを潰せるスプーン。底が平でイチゴの種のようなエンボス加工がされている。これで潰したイチゴに牛乳をかけて食べると美味しい。
グレープフルーツスプーン
約16cm先が尖っていて細かいギザギザが付いたスプーン。
柑橘類の果肉を皮からはがしやすい。
ソーダスプーン
18~20cmクリームソーダやパフェなど背の高いデザートを食べるためのスプーン。細長くてスリムな形状をしている。
ティースプーン
約14cm紅茶やハーブティー用のスプーン。コーヒースプーンよりほんの少し大きめ。ミルクや砂糖を混ぜるときや、茶葉の計量にも使う。
コーヒースプーン
約12cmコーヒー用のスプーン。コーヒーカップは紅茶のカップより縁の円周が小さめなことが多いのでスプーンも小さく作られている。
デミタススプーン
約11cmdemi(半分)+tasse(カップ)でデミタス。どちらもフランス語だ。半分サイズのカップ…つまりエスプレッソを飲む小さいカップのことである。それに使うための小さいスプーンがデミタススプーンだ。
カツカレースプーン
約18cmフランス料理からはかけ離れてきたが、カツカレー専用スプーンは日本で数多く作られている。カツをザクザク切るために先が割れているのが特徴。つまり日本の正統派先割れスプーンである。
ラーメンスプーン
20~22cmフォークとスプーンが一体となったような変則スプーン。フォーク部分に麺をひっかけ、スプーン部分にスープをすくって麺とスープを一緒に口に運ぶことができる。お箸に不慣れな外国人でもラーメンが食べやすい、新世代のスプーンだ。
フォーク
サービスフォーク
約22cm個別に使うのではなく、大皿の料理を取り分けるためのフォーク。サービススプーンとセットで使ってサラダなどを挟んで持ち上げられる。
テーブルフォーク
約21cm最もオーソドックスな大きなフォーク。テーブルナイフと対になることが多い。切ったお肉を刺して口に運ぼう。
フィッシュフォーク
約19cmフィッシュナイフと対になることが多いので、ナイフとお揃いの装飾をほどこされている。フォークの根元の窪みをちょっと深めに作ってあって、魚の出汁やスープをすくいやすいものもある。
パスタフォーク
約19cmまたの名をスパゲティフォーク。フォークの歯と歯の間が狭めに作られていて、スパゲティを巻き付けた際に口に入れやすいサイズになっている。
サラダフォーク
約16cmサラダを食べるための小さなフォーク。サラダの方がケーキよりも1口のサイズが大きくなりがちなので、デザートフォークよりちょっと小さめに作られている。
カクテルフォーク
約14cmフォークの歯が2本しかない、繊細でスリムなフォーク。カクテルサラダなど、細身のグラスに盛られた料理に使う。なんとなくおしゃれな雰囲気。
エスカルゴフォーク
約14cmエスカルゴを中心とした巻貝を食べるためのフォーク。こちらも歯が2本しかない細身のフォークで、先端を巻貝の口に刺して身を取り出すことに特化している。サザエのつぼ焼きにも使えそうだ。
オイスターフォーク
12~13cmオイスター、つまり牡蠣だ。牡蠣を殻から外すのに特化したフォーク。幅広で、左右の歯が太めなのが特徴。
デザートフォーク
約19cmその名の通りデザート用のフォークだが、ケーキもフルーツも専用フォークが存在するので名前に反してデザートを食べる時の出番はあまりない。実はオードブル(前菜)を食べる時に多用される。もはや「オードブルフォーク」に改名した方が良いのではないだろうか。
フルーツフォーク
約16cmフルーツを刺すための小ぶりのフォーク。歯が2本のものと3本のものが存在する。
ケーキフォーク
約14cmケーキを食べるための小ぶりのフォーク。左の歯だけちょっと太めになっていて、ナイフのようにケーキを切って使う。
ヒメフォーク
約12cm日本で生まれたと言われる日本食に適したサイズのフォーク。おはぎや桜餅など小さい和菓子を食べやすい。
ラーメンフォーク
約20cmこちらも日本の…名古屋のラーメン店「スガキヤ」で生まれたフォーク。ラーメンスプーンよりもフォークの歯が長く、スープスプーンに歯が生えたような形をしている。割りばしの大量消費を防ぐため、割りばし替わりに開発したという。
番外
ケーキサーバー
約25cmカットしたケーキの底に差し込み、まるごとすくい上げるための道具。なんと15世紀前後にヨーロッパで生まれた。手づかみで食べる時代でもケーキのとりわけだけはしていたようだ。
スープレードル
30~35cmお鍋からスープを取り分けるときに使う。日本でいうところの「おたま」。
カニスプーン&フォーク
15~25cm片方が小さな二股フォーク、もう片方の先端が細身のスプーンになっているハイブリッドスティック。カニの脚にフォークを刺して身を抜き出したり、甲羅の身をスプーンで残さずかき出したりできる。
こんなにいらねーだろ!
食文化の発展って面白いですねえ
うっかりマナーから脱線してしまったが、興味を持ってもらえて何よりだ
まとめ
カトラリーは食べる順に外側から並んでいる。間違って使ったり落としたら店員さんを呼ぼう。
カトラリーとはナイフやフォーク、スプーンなど、手で持って料理を切ったり口に運んだりする道具の総称です。フランス料理のお店では、使う順に外側から並べてあるので外から順に使っていきましょう。間違った物を使ってしまった場合や床に落としてしまった時は、店員さんが気付いてくれるのを待つか、小さく手を挙げて店員さんを呼ぶと良いでしょう。大声で呼ぶのはNGです。
ところで料理はいつ出てくるんだ?
はっはっは。今日の授業はここまでだ
またか!いつになったら食えんだよ!
今日はラーメン食べて帰りましょうか
4コマ漫画
大衆酒場まではともかく貴族の晩餐やお茶会はなぁ…
まあ手づかみ文化は意外と日本では知られてないですから
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