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せめて魚介類を求めてくれよ。目的は海なんだからさ。
……伊勢湾はひじきも美味い。
ひじき…海藻か。まあ海産物なら有りかな
そんな会話をしながら大海原を行くのは鰹節のカツ太とニラ。
サーフィンを楽しむために新たな波を求めている最中だ。 ※彼らの出会いのストーリーを読みたい方は鰹節の記事へ!
だが少し気になるんだが、昔ひじきには毒があると聞いたことがあるんだ。
しかし日本では古くから食べられている海藻だろ?どういうことなんだろうな。
不安がる必要ないほど微量だがな。では説明しよう。
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---|---|
ひじきとは | |
詳細 | |
栄養 | |
どんな人におすすめ? | |
芽ひじきとひじき | |
ひじきのウワサ | |
ひじきの仲間、あかもく | |
名前の由来 | |
歴史 | |
どこから来たのか | |
今日のいい言葉 | |
4コマ漫画 | |
まちがい探し |
ひじきとは
日本で古くから食べられている海藻の一種で、煮物に使われることが多い。
ひじきは昔から「食べると長生きする」とされており、昔は敬老の日だった9月15日が「ひじきの日」となっている。しかし、ひじきは栄養素もたっぷりあるがヒ素という毒素もある…という話がある。果たしてひじきは危険な食べ物なのだろうか。
ヒ素!?すごい毒じゃないか!
だが、ひじきでヒ素中毒になって死んだという話を聞いたことはあるか?
うーん……ないな。つまり迷信ってことか?
あとからより詳しく説明するが、ひじきに限らず多くの天然の植物内には極々微量のヒ素が含まれていることは少なくない。
しかし、とてもじゃないが食べきれないほどの量を毎日欠かさず食べ続けて何十年も経過しないと影響がないほどの量だ。それよりもひじきが持つ栄養の方が遥かに多いし健康の助けになるので、正直言って恐れる必要はない。
ヒ素は酸素や水素と同じく元素だからな、地球上に普通に存在しているんだ。
本来は自然界の元素の1つだが、人為的に高濃度に凝縮すると毒になるということか。
その通りだ。水素だって使い方次第で武器になるし、濃すぎる酸素は毒になる。それと同じさ。
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詳細
ホンダワラ科ホンダワラ属の海藻で、波の荒い海で、岩にくっついて生息している。
住んでいるのは浅い場所だ。冬の初めから春が終わって暖かくなるまでの、 寒い時期に繁殖して仲間を増やすのだが、 ひじきは2つの繁殖方法を持っている。 ひとつは自分の新芽から クローンをつくる方法。 もうひとつは雄株の精子と 雌株の卵を受精させる方法だ。 単独でも仲間とでも子孫を残せるのは、 ひじきの強みである。
ひじきの繁殖能力はすさまじいんだな。
ああ。強くたくましい海藻だ。
日本国内でひじきがよく採れるのは三重県、長崎県、千葉県、それに愛媛県。
太平洋側で岩場が多めの海がある都道府県だ。
三重は魚介も海藻も美味い。ゆえに伊勢湾にはロマンがある。
さっきお前、海産物じゃなくてうどんが食いたいって言ってたろ。
うどんも美味いんだ。
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栄養
カロリーは100gで約180kcal。
一食分の小鉢に使うひじきは5gくらい。 大盛りにしても10gいかないくらいなので、 一度に食べる分のカロリーは10kcal前後だ。特徴はカルシウムやマグネシウムなどミネラルの多さ。
そしてその中にはクロムという栄養素も含まれる。クロムは鉄分や銅、亜鉛などと同じく金属だ。
金属だって?食えるのか?
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金属は食べられる?
金属が体の栄養になるなんて、よく考えると不思議だが、人間が鉄のかたまりなどを消化できる訳ではない。
金属に含まれている成分が水に溶けて、 動物のお肉や植物にも しみ込んでいるということだ。だから鉄のフライパンやお鍋で料理をすると、その料理にはフライパンやお鍋の鉄成分がしみ込んで、栄養としての鉄分が料理に追加される。
最近は焦げ付かない、 さびない、軽いなどの理由で、 調理器具のほとんどが ステンレス製になっていて、 その影響で鉄分補給の量が 減っていたりするのだ。
そうか、鉄分も銅も亜鉛も金属ではあるな…。そうか栄養になるのか。
実はひじきも、鉄鍋で煮た場合とステンレス鍋では、鉄分の量に10倍近くも差が出てしまう。
貧血に悩んでいて鉄分を補給したい人は、 あえて調理器具を鉄製の物でそろえたり、 毎日飲むお湯を鉄瓶で沸かすとよいかもしれない。というわけで話をクロムに戻すが、クロムは別名「代謝のミネラル」と呼ばれている。
血液中のコレステロールの代謝を助けてくれる。
また、体内でインスリンの分泌を促すはたらきをする事で糖分を摂りすぎて上がった血糖値を、正常な値に戻すための手助けをしてくれるのだ。
特にビタミンCと一緒に摂ることで、クロムは体に吸収されやすくなる。
鉄鍋も銅の食器も、舐めると味が違うだろ?味を感じる=成分を取り込んでいるのさ。
栄養素 | イメージ | 説明 |
---|---|---|
マグネシウム | 血をサラサラにする。 | |
クロム | コレステロールの代謝を助ける。血糖値を下げる。 | |
カルシウム | 骨をつくつたり、興奮をおさえてくれる。 | |
カリウム | 膵臓でナトリウムをおさえる。 | |
鉄分 | 血液に酸素を運ぶのを助けてくれる。 | |
食物繊維 | おつうじの量をふやしてくれる。 | |
ビタミンK | 血液を固めたり、骨を強くするのを助ける。 | |
リボフラビン | ビタミンB2とも呼ばれ、皮膚、髪、爪の細胞を生き返らせてくれる。 |
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どんな人におすすめ?
糖尿病を防ぎたい人
糖尿病というのは、すい臓の働きが弱まって、体内でインスリンがうまく分泌されなくなる病気だ。
ひじきに含まれるクロムは、 インスリンの分泌を促す効果があるため、 糖尿病になるのを予防したり、 糖尿病の人の症状を軽くするのに役立ってくれる。
糖尿病の危険がある人にとって大事な栄養なんだな。
栄養に納得したところで、その他の特徴も細かくみていくか。
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芽ひじきとひじき
ひじきを買いに行くと、短くて先端が細い芽ひじきと、先まで太くてニョロリと長いひじき、この2種類が並んでいる。
これらの違いは、採れる部位の違いだ。芽ひじき
ひじきの枝の先端の部分。 薄くてやわらかい。長いひじき
ひじき本体の茎部分。 長くてコリコリした歯ごたえがある。
てっきり芽ひじきは成長前のひじきだと思っていたよ。
実際は部位の違いなのさ。
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ひじきのウワサ
ひじきにはヒ素が含まれていて体に悪い。
最近はそう言われることも多くなってきた。たしかにひじきは、海中のヒ素を 体に取り込んでいる。 しかし、実はひじきだけでなく、 多くの天然の食材には、 自然界のヒ素が混入している。 そして縄文時代から今にいたるまで、 ひじきによってヒ素中毒になった という事例はなく、 毎日ひじきを食べて過ごした人が 90歳以上まで健康でいたりする。 さらに、ひじき内のヒ素は 調理の過程で多くが除去されるのだ。 水で洗う、水で戻す、そして 茹でたあとに茹で汁を捨てる…。 このそれぞれの過程で、 ひじきに含まれるヒ素は ほとんど流れてなくなっていくのだ。 なので心配せずに食べよう。
序盤に説明した通り、ヒ素も自然界に存在する成分に過ぎない。心配しすぎることはない。
次に名前の由来も知っておくといい。
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名前の由来
ひじきは漢字で「鹿尾菜」と書く。
この漢字でひじきと読むとは ちょっと馴染みがづらい。ちなみに由来は、というと、 鹿のお尻の毛に似ているからだそうだ。 鹿のお尻の写真を検索すると、 なるほど尻尾の上の部分だけ 短い黒い毛が生えている。
誰が名付け親かは不明らしいが、とにかく鹿が身近に住んでいて、よくお尻を見る機会があったのだろう。
「羊栖菜」と書く説もあるが、 こっちは中国からやってきた。中国では鹿より羊が多くて、 黒い羊の毛を見て ひじきを思い出したのだろうか。
なるほど。芽ひじきは鹿の尾に似ていなくもないな。
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歴史
縄文時代には既に食べられていたらしい。
その頃の土器が出土したとき、 土器にひじきっぽい海藻が付いていて、 そこから判断されたのだ。その後の時代では 平安時代に伊勢物語の中で、 主人公の在原業平が 女性にひじきを送ったり、 戦国時代では加藤清正という武将が、 熊本城の壁に塗り込んで、 籠城戦の非常食にしたという話も残っている。 江戸時代には俳句の本で、 春の季語として紹介されたりと、 ひじきは歴史の色々な場面で、 その時代の生活に密着してきた。
縄文時代から!?日本の人類史の初めからということじゃないか。
その時代から現代までずっと食べられてきたんだ。それだけでも安全性は分かるだろう。
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ひじきはどこから来たのか
ひじきはどこから渡ってきたという事もなく、1万年以上前から日本で食べられてきた。
縄文時代の遺跡である、 高知県の龍河洞遺跡などで、 ひじきと思われる海藻が付いた 土器が出土しているのだ。また、平安時代に書かれた伊勢物語にも、 ひじきの話題やひじきの和歌が登場する。 思ひあらば 葎の宿に 寝もしなむ ひじきものには 袖をしつつも 葎は「むぐら」とよむ。 草むらや、やぶの意味だ。 これは片想い中の男性が、 想い人である女性に、 贈り物のひじきに添えて送った歌だ。 あなたが私を思ってくれるなら、 やぶの中で一緒に寝ましょう。 敷物として私の着物の袖を使いつつ…。 …という意味だ。 海藻の「ひじき」と「敷き物」をかけている。 大好きなあなたとなら、やぶの中でも幸せだ。 そう言っているのだと思われるが、 やぶで寝るのはちょっとドキドキする。
ひじきには悠久の時が詰まっているんだな。
そうだ。では最後にひじきの仲間も紹介しておこう。
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ひじきの仲間、あかもく
あかもくという海藻をご存知だろうか。
あかもくとは何かというと、 ひじきと同じ ホンダワラ科ホンダワラ属の海藻の仲間である。なおワカメはチガイソ科ワカメ属 昆布はコンブ科コンブ属 もずくはモズク科モズク属と、 同じ食用海藻ながら、意外とみんな所属が違う。 そんな中でひじきとあかもくは同じ所属だ。 地方によってはギバサとがギンバソウ などと呼ばれているため、 商品として売られるときは 「あかもく(きばさ)」など 注釈が付いたりする。 関東ではあまり目にする機会がないが、 時々めかぶやもずくと一緒に、 2~3パックセットの 生食用としてスーパーに並んでいる。
あまり意識したことはなかったが、興味あるな。探してみるよ。
味はパックの雌株によく似た出汁味で、食感はコリコリした芽ひじきといった感じだ。
このコリコリ感が あかもくの特徴と言っていいだろう。そしてめかぶと同じく ネバネバ成分がとても豊富で、 亜鉛や鉄分が、昆布やわかめの 5~7倍含まれているほど ミネラル豊富な海藻だ。 なにより独特の歯ごたえがクセになるので、 見かけたときは迷わず 手に取るといいだろう。 「めかぶとももずくとも違う第三勢力だ!」と けっこう驚くことうけあいだ。 オンラインだと岩手県産や 三重県(伊勢志摩)産など 国産のあかもくが簡単に手に入る。
わざわざ探さずとももう伊勢湾沖だ。いくらでも食べられるさ。
話している間に到着してたってわけか。
なおアカモクもひじきと同属ということで、「アカモク ヒ素」と検索されることが多い。
だか安心してほしい。あかもく内のヒ素も、 自然界に生きる植物として 毎日1パック食べ続けても 人体に影響の出る量は含まれていない。 そして水洗いや茹での過程でほぼ排出される。 海藻を摂らずに過ごすより、 食べて過ごした方が体に良いのだ。
疑惑も晴れたし、オレもひじきに興味が湧いたよ。
ならひと波満喫してから食事だな。
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今日のいい言葉
悲しみと喜びはつながっている。
フィリス・ディラー
伊勢を目指す理由には正直ガッカリしてたが、オレもすっかりひじきに興味津々だ。
またひとつ、生きる喜びを知ったな。
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4コマ漫画
イラストレーターで描いた 「ひじき」の4コマ漫画。
※このページの記事を読むとマンガはより楽しめます。つづく
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登場キャラクター紹介
イメージ | 栄養 | 紹介 |
---|---|---|
カツ太 | ある日漁船に捕まり、かつおぶしに加工されたカツオ。 海を懐かしんで浜辺にたたずんでいたところニラと出会う。 いまはサーフボードとして第2の生をエンジョイ中。 | |
ニラ | プロアングラーなニラ。 釣り師でありながらサーファーでもある海を愛する彼は、 浜辺で出会ったカツ太とコンビを組んで毎日波に乗っている。 |
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マンガ関連リンク
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