村上春樹原作アニメ映画「めくらやなぎと眠る女」あらすじと感想!パンフレットは買うべき?

更新: 村上春樹とは追記 by イラレブック

めくらやなぎと眠る女の映画あらすじと感想
村上春樹原作「めくらやなぎと眠る女」の映画あらすじと感想イメージのタイトル画像
この記事でわかること

・映画「めくらやなぎと眠る女」のあらすじは?

・映画「めくらやなぎと眠る女」を観た感想は?

・パンフレットを買うべき?

この記事を読むと映画「めくらやなぎと眠る女」を観に行くべきか?パンフレットを買うべきか?の判断ができるようになります

目次

めくらやなぎと眠る女の目次

  1. めくらやなぎと眠る女とは
  2. 原作は?
  3. 映画のあらすじ
  4. 感想
  5. 原作を読む必要ある?
  6. パンフレットは買うべき?
  7. 客層は?
  8. 村上春樹とは
  9. まとめ
  10. 作品詳細
  11. 関連記事一覧
  12. おすすめ記事
  13. イラレブックとは

※本記事には生成AIを一切使用しておりません。基本はイラストレーターのイラストですが、一部本物を示すため写真も使用しております。

めくらやなぎと眠る女とは

2024年7月26日(金)に全国公開された、村上春樹作品初のアニメ映画


村上春樹は元々「アニメには興味がない、あまり観ない」というスタンスなため、膨大な数の著書がありながらこれまで一度もアニメ作品が作られていなかった。
それが今回、監督の熱意と作風に興味を示し、初のアニメ映画制作にOKを出したのだ。

監督はアメリカ生まれフランス育ちで、先に英語版とフランス語版が作られて2022年6月13日(月)にフランスで公開されていたのだが、2024年に日本語版も完成し、逆輸入のような形で日本での公開が決まった。


原作は?

タイトル作品+5つの短編小説をミックス!

タイトルは「めくらやなぎと眠る女」だが、他にも村上春樹の下記の短編小説を原作として織り交ぜ、オリジナルの作品として再構成している。
作品名収録書籍
めくらやなぎと、眠る女
  • めくらやなぎと眠る女
  • 螢・納屋を焼く・その他短編
  • 村上春樹全作品1990~2000
かいつぶり
  • めくらやなぎと眠る女
  • 村上春樹全作品1979~1989
UFOが釧路に降りる
  • 神の子どもたちはみな踊る
  • 村上春樹全作品1990~2000
かえるくん、東京を救う
  • 神の子どもたちはみな踊る
  • 村上春樹全作品1990~2000
バースデイ・ガール
  • めくらやなぎと眠る女
  • バースデイ・ガール
ねじまき鳥と火曜日の女たち
  • パン屋再襲撃
  • 象の消滅
  • 村上春樹全作品1979~1989

「めくらやなぎと眠る女」の本は絶版になっているのか書店では手に入りにくいので「螢・納屋を焼く・その他短編」の文庫本を探すと良いだろう。
ただ、図書館の蔵書としては残っているので全作品集と一緒に図書館で借りてくるのもおすすめだ。


映画のあらすじ

題材となった6作品の登場人物の人生がクロスフェードした長編人間ドラマ

映画「めくらやなぎと眠る女」の日本語版PVカエル
映画「めくらやなぎと眠る女」の日本語版PVから、かえるくんが片桐を出迎えるシーンのカット
東京信託銀行に勤める、小村と片桐という2人のサラリーマンを中心に物語は進行する。舞台はとある大震災が起こった直後の日本だ。
銀行の大規模なリストラ計画で削減人員の筆頭候補に上がってしまった小林は、私生活でも大きな問題を抱えていた。震災以来、妻がTVの前から離れなくなり、寝食はおろか言葉さえも発することなく震災関連の番組を観続けるようになってしまったのだ。おまけに飼い猫の「ワタナベノボル」も姿を消してしまった。
途方にくれながらも動き続ける小林は、様々な場所で様々な人と出会い、非日常的な感覚を味わっていく。

一方の片桐は、7億円もの高額融資をした会社から一切返済がなく、上司の鈴木に激しい叱責を受けていた。週明けまでに絶対に何とかしろと言われるも、やれることは既に全てやっている。悲嘆に暮れながら帰路に就く片桐。だが、彼の人生の受難はそれだけではなかった。自宅のドアを開けると、部屋の中には謎の巨大蛙「かえるくん」が立っていたのだ。

「ちょうど一週間後、先週よりもさらに大きな地震が起きるんです」

そう告げるかえるくん。
地震を止めるには、片桐がかえるくんと共に地下深くに潜り、超巨大ミミズ「みみずくん」と命を賭けて戦わなければならないという。
7億円の督促、巨大ミミズとの戦い。週明けの片桐はこのスケジュールを無事に完遂できるのだろうか。


感想

先が見えない不条理の連続で眠気を誘われるも、何故か2度観たくなる不思議映画

映画「めくらやなぎと眠る女」夜景上空
映画「めくらやなぎと眠る女」の日本語版PVの都内上空からのカット
つながっているようでつながっておらず、つながっていないようでつながっている。そんなストーリーが淡々と続く。
場面が次々に切り替わり、非常識なこともまるで常識かのように、とにかく淡々と描かれている。「この話、どこに着地するんだ?」「この人物のエピソードはどこまで続くんだ?」というのがまるで分からないし、佳境となるポイントも分からない。終わらない他人の夢を延々と見せられているようで、正直途中で少し寝た。
だが、あとから反芻してみると、何故か意外にも視聴後感は悪くなく、むしろ様々なシーンが深く印象に残っており、もう一度観に行きたいという気持ちがとても強くなった。

映像も声も音も演出も、とにかく全てが緻密かつ丁寧に作られており、原作へのリスペクトの強さに溢れていたのだ。最近見た別の映画「ルックバック」でもそう感じたが、情熱と作品愛がこもった作品はエネルギーがすごい。実際、原作者の村上春樹さんもこの映画を気に入って2回視聴したそうだ。私もきっともう一度観に行くと思う。
一度観て世界観を感じ、二度目で自分なりの答え合わせをする。この作品はそんな楽しみ方をする映画だ。

なお一番強く惹かれたキャラはかえるくんだ。彼の力強い意思とやさしさは観る人の胸を打ってくる。かえるくんと片桐のタッグが巨大ミミズと戦うまでの顛末は、眠気など起きる間もなくハラハラと見守ってしまった。


原作を読む必要ある?

原作を読んでいなくても問題ない。だけど恐らく観たあとに読みたくなる

映画「めくらやなぎと眠る女」の日本語版テロップ
映画「めくらやなぎと眠る女」の日本語版PVのカット「囚われた過去から、解放される物語」とテロップあり
筆者は村上春樹のエッセイ以外の作品を全て読んだことがある。だが2000年以前に書かれた作品を読んだのは中高生の頃だったため、正直今回の映画で原作となった作品の内容は完全に忘れていた。
タイトルを見て「たしかに読んだことはあるな……内容はまったく覚えていないけど」という感じだった。実際に映画を観ても、本の内容はまったく思い出さなかった。だけど楽しめたし、観たあとに原作を再び読みたくなった。

この映画は関連性のない6つの短編を、監督が独自の解釈で1つの世界に構築し直し、登場人物につながりを持たせているので、原作の内容を覚えている人は「ここはこの作品からか…」とパズルのピースを合わせるような楽しみ方ができるだろうし、原作を知らない人は普通に1本の良質なドラマとして楽しめると思う。


パンフレットは買うべき?

パンフレットはおすすめ!監督と村上春樹の対談に絵コンテやイメージスケッチも!

パンフレット表紙と裏表紙
映画「めくらやなぎと眠る女」のパンフレット表紙と裏表紙
パンフレットの値段は1,000円ぴったり。カエル色をしたマッドな仕立てになっている。
内容は登場人物の相関図、監督による絵コンテや舞台設定画、原作解説、監督と原作者の対談など盛りだくさんだ。
よくあるパンフレットだと、半分以上が主演俳優もしくは声優の写真とインタビューで埋まっていたりするが、本作のパンフレットはそんなことはない。作品の背景と設定が、主に監督の手によって詳細に語られている。監督は元々、画家であり作曲家でもあったそうだ。じっくりと熟読したり、絵コンテを眺めたりしてお値段以上に楽しめる一冊だ。


客層は?

30代~60代と見られる1人客多めで8割は男性客

映画館前の写真
映画館前で撮影した入り口前の写真
行ったのは公開初日の金曜日、昼14:30からの回で、場所は新宿シネマカリテだ。地下にあるミニシアターで、新宿ではこの一館でしか上映していない。
平日の昼間だが初日ということもあって席は半分以上埋まっていて、中でも男性の1人客が圧倒的に多かった。女性もほぼ1人客。そして私も1人。みんな静かに観に来て、静かに去っていった。フードを食べる人もほぼゼロだ。なんというか、そういう映画なのだと思う。


村上春樹とは

村上春樹は国内小説発行部数・歴代一位を15年間キープし続ける世界的に有名な小説家

1979年にデビューして以来、未だに第一線で活躍している小説家だ。特に1987年9月4日(金)に書き下ろしで発売された小説「ノルウェイの森(上・下巻)」は2004年の時点で国内発行部数1,000万部を突破し、未だにこの記録は破られていない。
さらに35ヶ国語に翻訳され、世界50ヶ国で販売されているため、それも含めるとさらに膨大な数になるだろう。

漫画でいうと、単行本がシリーズ累計で100万部売れる作品は全体の0.1%に満たないそうで「超ヒット作」の部類に入るそうだ。
「シリーズ累計」なので20巻まで出していたら1~20巻までの合計発行部数ということになる。それを「ノルウェイの森」は上下2冊で1,000万部なのだ。どれだけすごいか、何となく分かるのではないだろうか。そして他の作品も、出すたびに話題になりベストセラーとなっている。


まとめ

「めくらやなぎと眠る女」は2度観に行きたい大人向けアニメ

かえるくんが巨大ミミズと戦うシーン
映画「めくらやなぎと眠る女」の日本語版PVから、かえるくんが巨大ミミズと戦うシーンのカット
この映画は大人に向けて作られたアニメ映画だ。複数の人間が人生の岐路に立ち、曲がったり分かれたりした道を手探りで進んでいく。
主人公の1人である片桐は40代。登場人物たちの平均年齢も恐らくそれくらいだ。筆者が観たときの映画館の客層もそれくらい。
「なんだか人生袋小路だな…」とか「なんか、気付けばただ生きてるだけなんだよね…」みたいな気持ちになったことがある人がターゲットな気がする。

淡々と続く先の見えないストーリーなので、一度観ただけでは何だかよく分からないまま終わるかもしれないが、時間と手間を惜しまずにかけられた上質かつ緻密な作品なので、一度観たら再び劇場に足を運びたくなるだろう。


作品詳細

「めくらやなぎと眠る女」情報まとめ

めくらやなぎと眠る女
監督ピエール・フォルデス(Pierre Földes)
原作者村上春樹
音響監督臼井勝
フランス語版公開日2022年6月13日(月)
日本語版公開日2024年7月26日(金)
来場者特典かえるくんオリジナルステッカー
映画公式サイト公式サイト
配給元公式X公式X


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